先日、OKRと企業カルチャーに関するイベントにお邪魔してきたので、特に学びになったことを中心にメモ。
スピーカーはメルカリ執行役員の唐澤俊輔氏と、「0秒リーダーシップ」「New Elite」などのビジネス本でお馴染みのピョートル・フェリクス・グジバチ氏でした。
OKRとは
OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、Google社も採用している目標管理のフレームワーク。
イベントはOKRをある程度知っている前提でのお話だったので、ここではイベント中のお話といくつかの記事を参照しながらOKRの特徴をざっくりまとめました。
- 目標(Objectives)を決め、その鍵となる主要な成果(Key Results)の指標を決める
- OKRは組織目標に対する目標管理制度、全社員が対象
- 組織・個人の方向性とタスクを明確にすることができる
- 企業を構成する個人それぞれのKey Resultが違っていても、最終的に企業のObjectiveを達成することに繋がる。「個人のやりたいこと・やること」と企業全体の目標が繋がる
- 個人と企業の目標を繋げる意味では、「ボトムアップの目標設定」とも言える。ただ、ある程度トップダウンでチームも引き上げる要素もあった方が良いという意見も。
- OKRは評価ツールではなく目標ツール。メルカリ社ではOKRを評価とは結び付けない。ストレッチの利いたゴール(達成可能性50%くらい)を設定し、四半期ごとにチェックしていく。達成しなかったとしても評価と結び付けない
OKRとKPIの違い
KPIと混同されがちですが、KPIは部署ごとの運用が多いのに対し、OKRは組織全体の目標に対する目標管理制度。また、OKRは評価に結び付けず、達成可能性が60〜70%程度のストレッチを利いた目標を設定する企業が多いようです。
イベントでは「OKRはKey Results以外の指標に関しては下がっても良い」というお話も出ていました。
※参照記事:
ここからはOKRに限った話ではありませんが、イベントで心に残ったところをメモ。
日本のビジネス界に起こりそうなシフト
ピョートルさん率いるプロノイア・グループのミッションとして「日本のビジネス界に6つの魔法をかける」とあったのですが、その6つの要素がこれからまさに変わっていきそうな(もしくは今変わっている)組織・個人の変化だったのでメモ。
(※スライドの文字が見えなかったので、あくまでも私の解釈含みます。訂正あればお願いします。)
- 経営する企業のカタチ:
「モノづくり(メーカー)」から「仕組みづくり(プラットフォーム)」へ - 性質:
金銭的な報酬から、感謝・自己実現といった見えないモチベーションへのシフトかなと理解しています。 - 仕事のあり方:
「クローズド」から「オープン」へ - 管理の方法:
トップダウンからボトムアップかなと解釈(ピョートルさんが、「『上司』ではなく『下司』」というお話をされていたので、サーバントリーダーとの話とも共通しそう) - 主義:
「計画主義」から「学習主義」へ(ピョートルさんの著書「New Elite」でも、学び続けることの大切さについて触れられています。) - 部下との関係:
「鵜飼い」から「羊飼いへ」(放し飼い、個人に任せるイメージ。ただし放任しすぎると何が起こっているか分かりにくい。)
Company Value
メルカリ社では下記の3つが会社のコアバリューとして存在していて、何か議論になった時にも「それってGo Boldじゃないよね」とマジックワード的な働きをするようです。
- Go Bold: 大胆にやろう
- All for One:全ては成功のために
- Be Professional:プロフェッショナルであれ
また、会社のカルチャーとして性善説を前提としているそうで、下記のような文化もあるそうです。
- ボトムを管理するためのルールはつくらない
- 会社の情報をできる限りオープンに
- 必要な情報は自ら取りに行く
- 社員同士で感謝を伝えあいやすくするため、ピアボーナス「mertip(メルチップ)」を導入している。週に400ポイント(400円分)のチップを社員同士で送り合い、給与に反映される。
ピアボーナス素敵ですね。
※追記:できる企業とできない企業があるとは思いますが、性善説で会社のカルチャーを作るのも本当に素敵なことだと思います。ちょうどこのイベントの翌日にお話をした方から「サボる人が出るから、自分の会社ではリモートワークが廃止になった」という話を聞きました。
サボる人に水準を合わせていると、せっかくの働きやすさを上げる制度も浸透しないですよね。
昨日お会いした方から、リモートワークが廃止になった会社の話を聞いた。理由はリモートワークと言いつつサボる社員がいるから。
会社側の気持ちも分からんでもないけど、サボる側に合わせてルールを作るとマジメに働いてる人や優秀な人に不利益が出て辞めやすくなると思うんだよなぁ。
— みつは (@mitsuha_dayo) 2018年6月14日
一方のプロノイア・グループ社は「遊びながら働く」意識が強く、下記の3つをカルチャーとしているようです。
- Play work
- Implement first
- Offer Unexpected
プロノイア・グループの社員さんは本当に仲が良く、イベント中も和気あいあいとしている様子が印象的でした。
会社のビジョンと個人の自己実現をどう結べば良いか
会社のビジョンと個人の自己実現をどう結ぶか。お2人からはこんなコメントがありました。
ピョートル氏:
- 「タレント事務所」のようなイメージで会社を運営。
- 社員は自分のやりたいことをそれぞれ持ち、それぞれのタレントを発揮していく。
メルカリ唐澤氏:
- 会社のVISIONへの共感が大事。そこがずれると前提がずれる。
- メルカリ社の「ミッション」と自己実現をどう結ぶかについては、個人の「やりたいこと」と「会社でやっていること」が離れていないことが大事。
私個人としては、本業を持ちつつフリーランスとして働いたり、空き時間に4コマ描いたりブログ書いたりしているので、「タレント事務所のようなイメージで会社を運営」というピョートルさんの言葉が、すごく素敵だなと思いました。
また、自分が会社でやりたいことができていない時のフラストレーションってすごいので、唐澤さんのコメントにも心から共感です。
チームとは何か?
(※モデレーターのIbunさんによる素敵スライド)
パネルディスカッションの最初と最後に「チームとは何か?」という問いがありました。
ピョートル氏:
- スポーツチームのイメージが近い。一緒の目標を共有し、達成していく。
- 元々は「チーム=家族」というコンセプトはあまり好きではなかったが、そういった側面がある方が温かいチームになる。
- 心理的安全性が保たれたチームであることが大切。
メルカリ唐澤氏:
- チームは「ひとりではできないことをやるため」にある。
- チームがあるから大きなことをできる。
- 同じミッション・同じゴールに向かっている人の集まり。
- ダイバーシティ(違う価値観の人が集まること)大事
- 心的安全性(唐澤さんの言葉では信頼関係)大切。お互いが信頼できないと、言いたいことが言える状況が作られない。
パネルディスカッションの最後に、モデレーターのIbunさんが「TEAM」という単語を使って
Together(一緒に)
Everyone(みんなで)
Achieves(成し遂げよう)
More(より多くのことを)
と仰っていて、素敵な言葉だなあと思いました。
メンバーが活き活きしているチーム
以上走り書きでしたが、イベントを通して
- 2社の社員さんが皆さんとても楽しそうに仕事をしている
- 個人のやりたいことと組織の方向性が上手く結びついている
ことが節々から感じられました。
私も自分の会社・チームがとても素敵で最高に働きやすいと思っていますが、もっと個人と組織が結びつくような動きはできるかなと感じました。
また、私は働き方に関する本を読むのが好きなのでピョートルさんの本は4冊ほど読んだのですが、どれも実用的で勉強になりました。
興味がある方は読んでみてください。