大事な人とのコミュニケーションに役立つ「The story I’m making up(私がでっち上げている話)」の発想

アメリカの人気著者・研究者、ブレネー・ブラウン(Brene Brown)さん。

心のもろさ(vulnerability)や恥、勇気など、人の感情に関する研究をされている方です。

彼女のTEDトークは特に有名で、2010年のこちらのお話は現時点で5,000万回以上、再生されています。

今回ブログに書いてみたいと思ったのは、TEDトークとは別のトピックに関して。

Business Insiderに掲載されていた彼女のインタビューが目に止まりました。

“The story I’m making up”

“If I could give men and women in relationship and leaders and parents one hack, I would give them, ‘the story I’m making up,'” Brown told Tech Insider. “Basically, you’re telling the other person your reading of the situation — and simultaneously admitting that you know it can’t be 100% accurate.”

「もし私が恋愛関係にある男女、リーダー、親御さんにたったひとつのコツを伝えるとすれば、『私がでっち上げている話』の観点を伝えると思います」ブラウン氏はテックインサイダーにこう語る。「この言葉は、あなたが相手に『自分がどう状況を読み取っているかを伝える』こと、同時にそれが100%正確にはなりえないと自分でも認めていることを意味しているのです」

https://www.businessinsider.com/brene-browns-biggest-life-hack-is-a-simple-phrase-2015-8

すれ違いはどこで起こるのか

具体例として、ブレネーさんご自身のエピソードを簡単に載せておきます(参照元)。

ブレネーさんのアイコンが私ですがスルーしてください。

とある夏、ブレネーさんと夫スティーブさんは、待ちに待った家族旅行でテキサスに。

夫婦で湖で泳いで、幸せを感じたブレネーさんはスティーブさんにこう言います。

 
ブレネーさん
I’m so glad we decided to do this together. It’s beautiful out here.

 

今回あなたと一緒にこうすることができて、本当に嬉しい。ここは本当に美しいわね。

ブレネーさんは、スティーブさんが自分と同じくらいの愛情を返してくれるだろうと期待していました。

すると、スティーブさんはこう言います。

 
スティーブさん
Yeah, water’s good.

 

ああ、水が気持ちいいね。

ちゃんとした反応が返ってこないことに恥ずかしい気持ちになるブレネーさん。

もう一度気持ちを伝えてみることに。

 
ブレネーさん
This is so great. I love that we’re doing this. I feel so close to you.

 

本当に最高。こうやって一緒に休暇を過ごせて嬉しいわ。あなたがすごく近く感じられる。

すると、スティーブさんから返ってきたのは、また素っ気ない返事。

 
スティーブさん
Yep, good swim.

 

ああ、良い泳ぎだね。

そしてスティーブさんは泳ぎ去ってしまうのでした。

 
ブレネーさん
彼は私を見て、年を取ったなとでも思ったのかしら…。

色々モヤモヤを抱えるブレネーさん。

「自分の中でこんなストーリーが生まれている」と、気持ちをスティーブさんに伝えたところ、予想外の展開に。

なんとスティーブさんは泳いでいた時、実はパニック発作に苦しんでいたのです。

ブレネーさんがその時何を言っていたか、まともに聞くことができない状態でした

 

「”事実”に基づいての判断」の落とし穴

相手に何かを伝えるときに、自分が状況から読み取ったことが間違っている可能性がある前提で話をすること。

これ、すごく大事なことだなあと思うのです。

私たちは、日々起こったことを頭の中で自分のフィルターを通しながら解釈していきます。

パートナーが愛情を伝えない(と感じる)日が続いたら、「あの人はもう自分を愛していないんだ」とか。

家族や同僚、友人など、身近な人の機嫌が悪ければ、すぐに「自分が何かしただろうか」と考えてしまう人もいると思います。

それら自分の解釈がまったくの見当違いだったってこと、ありませんか?(私はあります)

自分が見た「事実(だと思っていること)」に基づいて何度も考えを巡らせて出た結論を話している時ですら、面食らうような展開になったことがあります。

 

バランスの取れた思考に近づける言葉

人間関係においてイヤだなと感じることがある時、それを我慢する必要はない。

むしろ話し合った方が良いことってたくさんあるし、話し合ってもダメなこともあるけれど。

誰にでも認知のゆがみはあるし、自分の世界から見える物事を、自分のフィルターを通して解釈した思考って、案外アテにならない。

彼女が言う「The story I’m making up」の観点は、自分のフィルターから生じた感情だけで突っ走らないようにするのに役立ってくれているように思います。

パートナーシップに関していえば、双方がこのスタンスで話せると、感情的なケンカが起こりにくくなるし、相手への尊重を伝えることができるのではないでしょうか。

 

ちなみに

Brene Brownさんのこちらのトーク(Netflix)でもまさにこの話が出ています。

すごく面白いので、Netflixのアカウントある方はぜひ観てみてください。

https://www.netflix.com/title/81010166

予告編はこちら。

 

私自身もこのあたりのコミュニケーションはまだまだ苦手で、自分の感覚を正しいと信じ込んで話をしてしまうことが正直あります。

人の言動や出来事からあれこれ考えすぎてしまいがち。

なので、少しずつ練習していきたいところです。

考えすぎてしまう方、自分が持っているモヤモヤを相手に上手く伝えられない方の参考になれば幸いです。

 

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