そのイライラは、本当にあの人のせいなのか
私は学生時代から、何度も何度も人間関係で失敗をしてきました。親しい友人と仲が悪くなってしまったり、親にひどい言葉をかけたり、当時の恋人と大喧嘩をしたり。叫び合いの大喧嘩になったこともあれば、感情に任せて思ってもいないことを言って、相手をひどく傷つけてしまったこともありました。人間関係が悪くなればなるほど悩みも増えて、身体面・精神面の両方に不調を感じることもよくありました。
しかも、そういった失敗の多くが「防げたはずの失敗」なのです。取るに足らない些細なことにイライラしたうえで、不必要に物事を大きくしてしまうのです。
今回私が言いたかったのは、人間関係の難しさでもなければ、私がどうやって一度壊れた人間関係を修復したかでもありません。
この「些細なイライラ大爆発事件」が、やたらと生理前のタイミングで起こっていたことです。
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは
私がPMSという言葉を知ったのは、3〜4年ほど前。今でこそ日本でも徐々に知られてきていますが、まだまだ女性でも知らない方は多いのではないでしょうか。
PMS(月経前症候群)とは、簡単に言うと生理前に一定期間生じる身体面・精神面の不調のこと。より症状が重い場合は、PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)と呼ばれます。
Wikipediaや、私が現在お世話になっている婦人科でいただいたパンフレットにはこんな説明がされています。
月経前症候群(げっけいぜんしょうこうぐん、英: PMS; Premenstrual Syndrome)は、数か月にわたって月経の周期に伴って、月経の2週間ないし1週間位前からおこり、月経開始とともに消失する、一連の身体的、および精神的症状を示す症候群(いろいろな症状の集まり)である。 (Wikipediaより)
月経前の黄体期(※1)に、お腹や乳房の張り、痛みといった症状や、イライラや憂鬱など、精神的な不調が現れるものをPMS(月経前症候群)といいます。(パンフレット:「ヤーズ配合錠を服用する人へ」より) (※1)黄体期……排卵期が終わってから次の生理が始まるまでの期間。
私の場合は、毎月2週間ほど、身体面と精神面で何かしらの不調を感じ続けます。
PMSは、すべての女性が感じるものではありません。日本では39.1%が日常生活において多少なりとも障害を感じているというデータがある一方で、軽症なものを含めると6087%の女性にPMSの症状が認められるという報告もあるようです。
PMS(月経前症候群)の症状には何があるか
PMSの症状は、150種類にも及ぶと言われています。人によって症状の内容や重さも違えば、月によって症状が異なることもあります。
身体的症状で代表的なもの(Wikipediaより)
- 下腹部膨満感
- 下腹痛
- 頭痛
- 乳房痛、乳房が張る
- 腰痛
- 関節痛
- むくみ、体重増加、脚が重い
- にきび
- めまい
- 食欲亢進
- 便秘あるいは下痢
- 悪心、動悸
- 過剰な睡眠欲
- 不眠
私の場合は、下腹痛・腰痛・乳房痛・肌あれ(にきび)・便秘・過剰な睡眠欲・全身の倦怠感などをよく感じます。
精神的症状で代表的なもの(Wikipediaより)
- 怒りやすい、反感、闘争的
- 憂鬱
- 緊張
- 判断力低下、不決断
- 無気力
- 孤独感
- 疲れやすい
- 不眠
- パニック
- 妄想症
- 集中力低下、気力が続かない
- 涙もろい
- 悪夢を見る
- 異性に対してのみ攻撃的になり暴力をふるう
私の場合は、普段は笑い飛ばせるような小さなことにイライラしやすくなり、憂鬱・判断力低下・無気力・疲れやすい・集中力低下などの症状も感じます。
意外と私たちはPMSや生理痛を治そうとしていない
今までの私自身もそうでしたが、意外と生理痛やPMSって「治そう」という意識にならないですよね。風邪を引いたら「風邪薬を飲まなきゃ」となるのに、生理痛やPMSに関しては「そんなもんだから」「辛いのが当たり前だから」と思いがち。PMSは、今では徐々に「治療すべき病気」として捉えられつつあります。高校生でも治療を行っている人もいますし、保険対象で治療を行うこともできます。
私は数年前から無料のアプリを使って自分の生理サイクル・身体や心の不調を記録していますが、その習慣が付いてから、PMSが始まりそうなタイミングを自覚できるようになりました。また、湧き上がる感情に任せてイライラや怒りをぶつける前に、1回深呼吸をして心の中で5秒数えるようにしています。それだけでも、とっさに湧き上がったイライラを大ごとにするのを防いでくれるのでおすすめです。
そして、生理不順や重い生理痛も大きな悩みだったので、今年からは婦人科に通うようになりました。人によって合う治療法は異なりますし、医学的な話は専門家の人に聞くのが最も確実なので、PMSや生理痛に悩んでいる人はぜひ一度婦人科で相談してみてください。
個人的な体験談として参考程度に言うと、私は漢方薬ではあまり効果を感じなかったため、ピルを処方してもらうようになりました。2ヶ月もすると生理不順・生理痛が大分改善され、PMSの症状も以前に比べて和らいだように思います。
男性にも、PMSや生理痛についてもっと知ってほしい
そして女性の身体の問題を、女性だけの問題にしないこと。
特に男女のパートナーシップにおいては、男性の理解があるだけで変わることがたくさんあると思っています。男性がPMSについて知っているだけでも、不要なケンカを避けられることだってあります。
自分の恋人や家族がなんだかイライラしているいたり、わけもなく落ち込んだりしているときに、「なんだよ、また理不尽なイライラをぶつけてきて」と怒る代わりに「ああ、普段と違うな。そういえば今頃からPMSの期間に入るんだっけ」と気付いてくれるだけで十分なんです。
身近な男性の理解者がいてくれるのは本当に心強くてありがたいものですし、大事に思われていることに気付けば、女性もそのサポートに応えようと、精一杯の努力ができます。
このあたりの男女観については、男性目線で書かれているこの人と結婚していいの? (新潮文庫)という本が個人的に超オススメなのですが、そこでも「恐怖のPMSを知れ!」というタイトルとともに、PMSについてたくさんの言及がされています。
男性はこのことをよく理解しておかなければなりません。月に一度、女性は魔物に変わるのです。
PMSの時期には、男性には全く理解できないことが起こります。彼女の話は、支離滅裂に聞こえるし、訳もなくイライラしたりします。泣いたり、不安になったり……しかし男性はこの時期の女性に魔物に変わる権利を与えなければなりません。
人間関係を自分で悪くしない努力
人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。
ベストセラーにもなったアドラー心理学の本「嫌われる勇気」を読んだ時、心に残った言葉のひとつです。私も「本当にその通りだな」と思っています。
人間関係で悩みすぎないためにも、防げるケンカを防ぐこと。
自分や相手の心や身体について、もっと深く理解すること。
大事なな人間関係が壊れてしまう前に、大切な人を理不尽に傷つけてしまわないように、今後も意識し続けていきたいなと思います。