Good or bad, hard to say.「塞翁が馬」で人生を見つめるTEDトーク

故事成語「塞翁が馬」とは

人生万事塞翁(さいおう)が馬」という言葉を聞いたことはありますか?

「塞翁が馬」とは、人生の災いと幸せは転々として予測できないことのたとえ。中国、前漢時代の哲学書「淮南子(えなんじ)」にあった物語が由来です。

昔、中国の北辺の老人(塞翁)の飼っていた馬が逃げたが、後に立派な馬をつれて帰ってきた。老人の子がその馬から落ちて脚を折ったが、そのために戦争に行かずにすんだ。

このように人生の吉凶は簡単には定めがたいことをいう「淮南子‐人間訓」の故事による格言。

出典:精選版 日本国語大辞典(コトバンクより)

この「塞翁が馬」の考え方が大きなテーマとなっているのが、こちらのTEDトーク。

周囲から悪い(bad)とラベル付けをされること。それは本当に悪いことなのか。

障害を抱える娘さんを持つHeather Lanierさんの実体験に基づいたお話で、色々考えさせられました。

英語学習中の方は、英語スクリプト付きで見ることをおすすめします。

Good or bad, hard to say. (良いか悪いかは分からない)

お話の中で何度も出てくるこの言葉。

私自身も思い当たる経験がたくさんありました。

大学受験、一生懸命勉強したけど落ちた。

浪人して、2年目の大学受験で第一志望の大学に受かった。

大学に入って落ちこぼれになり、そこからの人生どうすればよいのか分からなくなった。

さらには当時付き合っていた人に振られ、落ち込んで勉強を怠っていたらテストで大事な単位を落として卒業が数ヶ月延びた。内定を頂いていた会社にお詫びを入れ、結局内定を辞退した。

卒業が延びた結果、アメリカでインターンをする機会を得て、海外で働くことを真剣に考え始めた。その後、東南アジアで新規事業立ち上げを行うことになった。

こんな「Good or bad, hard to say」を更に何度も何度も繰り返して、今に至ります。

私の経験は極端かもしれませんが。

皆さんにも「あの時苦しかったけど、あの時の経験があるからこそ、今こうなっている」と言える経験、

または逆に「あの時は上手く行っていると思っていたけど、今考えると大きな落とし穴だった」といった経験があるのではないでしょうか。

今落ち込んでいることや大変なことがある。それは本当に「悪い」ことでしょうか?

そして、その意味付けは、自身の助けになっているのでしょうか。

流動的な現実と思い込み

彼女のスピーチの中で、この言葉が特に心に刺さりました(日本語版は、英語のニュアンスがもう少し出るよう、公式のものから一部編集を加えています)。

To me, the story is not about looking on the bright side or waiting to see how things turn out. It’s about how eager we can be to label a situation, to put concrete around it by judging it.

私にとってこのお話は、物事の良い側面を見ようという話でもなければ、事態を静観しようという話でもありません。私たちは往々にして、状況を勝手に判断してラベルを貼り、具体的な意味を持たせてしまいがちだということです。

But reality is much more fluid, and good and bad are often incomplete stories that we tell ourselves. The parable has been my warning that by gripping tightly to the story of good or bad, I close down my ability to truly see a situation. I learn more when I proceed and loosen my grip and proceed openly with curiosity and wonder.

でも現実は、はるかに流動的です。物事の良し悪しは、私たちが自分自身に思い込ませる「不完全な物語」に過ぎないことがよくあります。この寓話が私に警告してくれたのは、物事の良し悪しにしがみついてしまうと、状況を真に見極められなくなるということ。しがみつく手を緩めて進めば、もっと多くを学べますし、開かれた考えで好奇心を持って進むことができます。

Don’t take life too seriously.

私たちが思っている以上に、現実ははるかに流動的。

人生上手く行っているように思えるときも、大変に思えるときも。

Good or bad, hard to say.

Good or bad, hard to say @mitsuha

関連トピック

今見ている景色は、15年前にはまったく想像もつかなかったもの。理想通りの人生には全然なっていないけれど、案外人生なんとかなる話。

逆タイムカプセル:18歳の私へ

その他のおすすめTEDトークはこちらから。

激務の人でも「めちゃくちゃ忙しい」と言わなくなるTEDトーク:緊急救命室(ER)ドクターの優先順位付け

プレゼンや面接が苦手な人におすすめなTEDトーク「ボディランゲージが人を作る」

TEDトーク:Good or bad, hard to say
日々の学びや気付きをつぶやいています