地獄のような生理痛からの解放
ここ2〜3年で私のQOL(生活の質)はぐっと向上しました。そして、その大きな要因のひとつはピルでした。
ピルと聞くと避妊のイメージが強いかもしれませんが、それだけではありません。
後でもっと詳しくお話しますが、月経困難症に苦しんでいた私のケースで言うと、生理痛の痛みが劇的に減り、体調不良の日数も減りました。
働く女性や現状妊娠の予定がない(けど将来子どもがほしい)女性に、もっともっとピルのメリットが伝わってほしい。
そう思ってこの投稿を書いています。
日本ではまだまだピルが浸透していない
国連が発表した「Contraceptive Use by Method 2019」によると、日本では避妊方法として4割近くがコンドームを挙げ、ピルを挙げた人はたったの2.9%。
国連が参照している元データは2015年の調査のようなので、今ではもう少し利用する人が増えていそうですが、それでも低い数字ですよね。
ヨーロッパ圏ではピル服用率が3割近い国も多くある(特に西ヨーロッパ)ことを鑑みると、日本やアジア圏ではまだピルがあまり浸透していないことを実感します。
生理って実は毎月なくても大丈夫
ピル自体の浸透度の低さに加えて、ぜんぜん広がっていない認識がこれ。
生理って実は毎月なくても大丈夫なんです。
私もはじめて婦人科で先生からこの話を聞いた時にめちゃくちゃ戸惑いましたし、後々身体に影響が出るのではと心配になりました。
ただ、元々生理って妊娠のためにあるもので、実は起こらなくても身体に悪影響はないのだとか。
研究でも、毎月生理を起こす場合と連続投与する場合とで、血栓症の発症率等に違いはなく、「問題ない」という判断になっています。
このような連続投与のメリットとしては、月経の回数が減ることにより月経前や月経中の体調不良を劇的に減らせるということです。ピルは女性ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンが入っており、①排卵を抑制し、②子宮内膜を薄くすることで、避妊効果、月経痛の改善、月経量の減少が得られます。さらに月経の回数自体が減ることで月経前症候群(月経前の精神症状や身体症状)、月経困難症(月経中の腹痛・腰痛・頭痛などの随伴症状)の症状自体をなくすことができるのです。
「ピルをそんなにずっと飲んで副作用は大丈夫?」「生理が数カ月来なくて大丈夫?」という心配に対しても、研究で問題ないことが分かっています。
アメリカで行われたピル84日または365日連続投与群と従来の21日投与群を比較した研究では、血栓症の発症率に有意差がありませんでした(1000人/年当たり1.44人 vs 1.09人)(Li J, et al:JAMA Intern Med. 2018;178(11):1482-8.)。また、ピルを止めてから月経が回復する期間は平均1カ月で従来のピルと差がなく、連続内服中の血圧・脂質変化も従来群と有意差がありませんでした(Mendoza N, et al:Eur J Contracept Reprod Health Care. 2014;19(5):321-39.)。
むしろ、妊娠の予定がないのに排卵し続けることは、将来的に妊娠出産を考えている人にとってはリスクだという話もあります。
排卵し続けるリスクについては、こちらの日経Doorsの記事を読んでみてください。
排卵の時、卵子は毎月、卵巣の壁を突き破って腹腔内に放出されます。壁を突き破るということは、毎月、排卵は卵巣にダメージを与えているということ、と高橋さん。女性が生涯で生む子どもの数が多かった時代に比べて、現代の女性は妊娠で生理が止まっている時間が短い分、このダメージを多く受けているといいます。「昔の女性は出産回数が多く、生涯の排卵回数が少なく、その分、卵巣のダメージは少なかったのです。現代は出産回数が減った分、生涯の排卵や月経の回数が増えて、子宮内膜症や卵巣がんも増えています。低用量ピルは、服用している間は排卵を抑制します。排卵は卵巣にダメージを与えますが、妊娠するために必要なこと。しばらく出産の予定がないのなら、卵巣をしばらく休ませておいたほうが、将来の妊娠のためにはいいんです。長期的なピルの服用によって妊娠しやすくなるという海外の論文もあります」
私のピル使用歴・体験談
私がピルを利用しはじめたのはちょうど3年ほど前。
当時の家の近くにあった婦人科に月1で通い、1年弱ほど28日周期のピル「ヤーズ」を試しました。
ピルの副作用で最も心配されるのは血栓症ですが、これに関してはちゃんと婦人科で数ヶ月後に血液検査をしてくれました。
血液検査や子宮系の検診結果にも異常がみられなかったため、その後お医者さんと相談したうえで、生理の回数を減らす「ヤーズフレックス配合錠」に切り替え。
ヤーズフレックスのサイトの情報では、最大120日間の連続服用可能とのことですが、私は婦人科の先生から3ヶ月に1回と言われました。
現在はアメリカで、ブランドは異なるものの、成分が同じピル(Loryna)をお医者さんから処方してもらって、3ヶ月に1回生理を起こすようにして使っています。
毎月こんな感じでピルをドラッグストアで受け取るのですが、”Okay to take placebo pills every 3 months(休薬用のプラセボ偽薬は、3ヶ月に1回でOK)”と書いてくれてますね。
指定のドラッグストアに毎月補充されるので、一度最初にZoomコールでお医者さんに処方してもらった後は、クリニックにも行くこともありません。
ピルで生理の回数を減らすことで、実際に感じたメリット
冒頭でも少し触れましたが。私が実際に感じることができたメリットは下記です。
毎回の出血量が減り、生理痛が劇的に緩和。今では痛み止めを飲んだとしても生理初日に1回だけで済んでいます。
体調不良の日数が激減。それまでPMSと生理とで、月の半分近く何らかの体調不良だったのが、今では「PMSかな」と感じる体調不良な日は、月に数日くらいです。
生理を起こすタイミングをコントロールできる。これって働く女性やアスリートはもちろん、あらゆる女性にメリットがあるのでは。生理直前や生理日はどうしても体調が崩れるので、そのタイミングを選べるだけでもものすごくありがたいです。旅行の予定がある場合は、その日を避けて生理を起こすこともできます。
- 生理を3ヶ月気にせずに済む。これって実はすさまじいメリットでした。心配事って、頭の中にあるだけで何かと神経を使うもの。「不正出血が起こらない限り、3ヶ月はそのまま続けて大丈夫」と分かっていると、頭の中から生理に関する心配をしばらく消せるのです。
- 肌荒れの改善:生理による肌荒れトラブルが減りました。3ヶ月に1回しか生理がないので、ホルモンバランスの乱れによって肌に影響が出る頻度はかなり少ないです。
ピルを服用して実際に感じたデメリット、効果を感じていないことや心配ごと
私が実際に経験したことや、心配になったのは下記です。
- 使い始めた頃のむくみと不正出血:服用を始める際、お医者さんから説明は聞いていたので、特に驚きはありませんでした。数ヶ月後からは特に気になるような変化は起こらなくなったように思います。
- PMS:PMSに関しては、症状が軽くなった気もします。が、正直ここはよくわかりません。PMSの原因のひとつはホルモンバランスの乱れと言われているため、ホルモンバランスを整えることで改善できそうな気はしますが。現状生理が3ヶ月に1回でも、毎月数日は「これPMS原因かな」と感じる症状があります。誰か詳しい人教えてほしい…。
- 血栓症の心配:血栓症に関しては、心配しすぎず、ただ今後も無視せずに。身体を適宜観察しておこうと思っています。ヤーズフレックス利用者の方は、こちらのページをぜひ一度見ておくことをおすすめします。
- 料金:毎月数千円のお金はかかります。当たり前ですが無料ではありません。ヤーズフレックスを処方してもらっていたときは診察含めて月々3・4,000円くらいかかっていたかと。とはいえ、得られるメリットが大幅に上回るので、私はここはまったく気になりませんでした(一応無料ではないのでデメリットに挙げておきましたが)。
仕事で息切れしている女性にこそ試してほしい
【4コマ】アラサー女子が仕事で息切れする理由
冒頭の画像は、私が昔かいた4コマの一部です。
ちらっと読んでいただければ分かるかと思いますが、生理痛がばっちり息切れの一因になっていました。
ピルは私の救世主。
今の快適な生活を考えると、もっともっと早く、ピルについて知っておきたかったなと正直思います。
今すぐ妊娠の予定がないのなら、根性論で生理痛やPMSに耐える必要って全然ない。
ピルの処方が初めてという方は、お医者さんと相談しつつ、まずは28日の通常のピルから初めていくのが良いかと思います。
私が実際に使ったことがあるのは「ヤーズ」「ヤーズフレックス」「Loryna」の3種類ですが、他にも色々な種類があるので、クリニックに行かれる方は一度何が違うのかなど聞いてみるのも良いかもしれません。
「ピルに興味はあるけど不安」という方のお役に立てれば幸いです。